大きくする 標準 小さくする

3年生へ 廣瀬監督が送る言葉

2010/11/22

 ほんとうにご苦労様。
 
 大阪府の代表も無事決まり、ほぼ、代表が出揃った状態の中、あとは、お正月の全国大会を待つのみとなってしまいましたが、大変遅くなって申し訳ございません。
 
10月31日、雨の万博運動場。応援に駆けつけてくださった藁谷学園長はじめ、学校関係者の皆様、保護者の皆様、ほんとうにありがとうました。
 3年生の保護者の方々には、3年間、多大なご支援また、ご協力頂き感謝の気持ちでいっぱいです。
 
 さて、私は、高津高校との対戦が決まり、とても複雑な気持ちでした。
 思い起こせば30年前、私が高校時代のラグビー部は、「私学に負けるな、進学校に負けるな」と叩き込まれながら、試合をこなしてきました。
 私学と公立と立場は違えども、高津高校は、進学校でありかつ、公立大会では常にトップをひた走るチームです。
 負けるわけにはいかない。負けられない。4月から迎えた藤森先生の早稲田の「負けられない」の教訓の元、3年生は、目標高く、休日もなく日々、「早稲田」を体感しながら、練習に取り組んできました。
 
 最後の大会、三年生にとっては3年間の集大成。
 予選リーグ。怪我人も多く、ベストメンバーで試合ができない。何かがおかしい。不安な気持ちのまま、高津高校への調整が進む。
 そんな中、高津高校との戦いの一週間前、またしても怪我で離脱するメンバー。練習中の怪我によりまともに練習に参加できない3年生小仁。
 そんな時、台風が接近。心の中で、けが人の為に、警報で1週間延期にという期待を抱いた。そんな弱気な気持ちになってしまった時点で負けは決まっていたのかもしれない。選手たちは、そんな雰囲気すら感じないまま、多少、曇り気味ではあったが、グランドコンディション良好の中、試合前のアップからいつも以上に声が出て、気合が感じられる。入れ込みすぎかなと多少不安になるが、最後のミーティングで彼らの目を見て勝利を強く感じ、キックオフのホイッスルが吹かれた。
 
 だが、開始早々、試合前のミーティングで何度も確認した「ノーペナルティー」がもろくも崩れ、再三反則を繰り返し、なかなかリズムに乗りきれない。重苦しい雰囲気を、練習中に足首を痛め、前日まで走ることすらできなかったCTB小仁の幾度となく相手に突き刺さるタックルで少しずつリズムを取り戻す。

小仁は、朝から痛み止めを飲みながら、試合に出場。どこまで持つか心配であったが、彼のファイティングスピリッツにより、部員たちが奮起し、ファーストチャンスをものにし、先制トライ。流れを引き寄せたかに思われたが、無常にも、雨が降り出し、本降りになりペースが掴めないまま、何度となく同じ光景、反則を繰り返す。
 そんな折、一瞬の隙をつかれ、トライを許す。トライ後のゴールを外した早稲田に対して、高津は成功させる。 その時点で 5 – 7 の2点ビハインド。
 この時点では、まさか誰もこのまま、ノーサイドを迎えるとは、予想もしなかった。
 
 後半も、自陣での防戦一方の展開。「ここを乗り越えたら、必ず勝機が来る。」と心の中で、叫びながら、戦況を見守った。だが、必要以上に、何度も何度も繰り返し襲ってくる高津の白いジャージ。早稲田は魂のタックルで、最後の一線を越えさせない。意地と意地のぶつかり合い。ただ、刻一刻と、時間が過ぎてゆく。誰もがみんな逆転を信じ、最後まで力の限り戦った。ベンチも一体になり、声援を送る。
 だが、無常にもノーサイドの笛。そこには、信じられない光景が待っていた。
 なみだ、なみだの全部員。嗚咽する上級生。放心状態の下級生。
 まだ終わりたくない。終わらしたくない。まだこのメンバーで試合がしたい。明日からまたこのメンバーで練習がしたい。だが、ノーサイドの笛の瞬間、その夢は断たれた。
 
 3年生。ありがとう。ご苦労さん。部員不足の危機の中、主将真島を中心に本当に成長してくれた。真島をキャプテンにしてよかった。キャプテンになってすぐ真島は、プレーは当然、まず、生活面をみなに徹底し、注意した。遅刻、服装、頭髪、などなど。高校生として当たり前のことを、当たり前のように部員たちに求めた。ほんとうに、すばらしい。ほんとうに、ありがとう。
 
 最後になるが、竹口、安原、森實。リザーブに回った3名の3年生諸君。ほんとうに君たちは最後まで頑張ってくれた。メンバー交代するタイミングを失いほんとうに申し訳ない。許してくれ。3年生は、最後までチームワークを大切に、下級生の面倒を見て、指導に当たってくれた。このチームの成長は、特に君たち3名のお陰。
 安原、森實、必ず大学へ行って、ここ早稲田での教訓を胸に、大暴れしてください。竹は明治大学に行って、必ず早稲田を・・・・
 
 また、このメンバーでプレーできることを楽しみにしています。
 ほんとうに、ほんとうにありがとう。
 
 みんなはひとりのために  ひとりはみんなのために