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VS関西創価「ワセダらしさの追求。今こそ求められるチャンピオンシップマインド」

2018/05/02

「この日勝たなければシード決定戦には進めない」

その言葉の重みを噛みしめて臨んだ試合。1年生の仮入部期間もあり、満足した練習時間があったわけではない。しかし、それは最初からわかっていたことで勧誘と練習の両立こそが我々の部に課せられている宿命であり、マネジメントである。



この日のテーマは「ワセダらしさの追求

それは何なのか。一言で「らしさ」の追求と話しても言葉とプレーのイメージがリンクしなければ誰も行わない。質問して明確な答えが返ってこなければ、それはらしさではない。
ミスしたボールへのリアクション、セービング、動き出し、タックル。様々な場面でワセダラグビーを観てきた人ならばわかるプレー。それは先輩がいかに背中で示してきたかで変わる。先輩がしないプレーは後輩にはできない。つまりらしさがないなら「ワセダ」という言葉も最初につかない。

この日も暑かった。このコンディションを考え、前日から当日含めて意図的にたくさんの水を飲む習慣のある選手もいれば、自覚ない飲み物を飲んでいる選手もいた。一つとってもすべては「準備」。この準備を怠れば見えないところで試合に影響を与える。自分たちが行う準備を試合で出せるかどうかであるが、この日見た前半の光景は決して良かったとは言えない。



前半から意図のない選択肢をチョイス。外から見ればミスではないプレーでも、我々にとって明らかなミス。それは相手がどうこうではなく、自分たちでコントロールできる部分のマネジメントを怠っていた。その決定権を持つ人間は最後一人だが、そこに至る過程には全員が、とりわけBKが決定しなければいけない。それなのに複数いる選手が間違っていることを正しい方向に修正する発言と行動をしなかった。つまりこれは全員が間違った行動をした。試合後に聞いてみると間違っているとわかっていましたと。それならばなぜ試合中の「今」修正しなかったのか。後出しの意見や試合後の修正ではなく、60分間で正しい道を常に示すべきだ。その発言をできないところが我々の弱さであり、なんとなくでプレーしているところに1人のラガーマンとして自立していないことを露呈している。それも含めてコーチングが行き届いていなかったのはコーチの反省すべき点である。わかっていたけれど行動に移せていないのはどのようにコーチングするのか。
話は戻るが前半早々にトライし、追加点を奪う。しかし、その後の20分間は相手に押され、前半は12-7で折り返す。



ハーフタイムでコーチから投げかけられる言葉は厳しいものだった。この試合に懸ける意気込みについて。戦術的な修正点はもちろんだがメンタル面。
後半開始からスイッチが入る。バランスを取ったATと人を「お膳立て」することを意識したプレー。明らかに先週より「お膳立て」ができている。自分よりも良い選手はいるか、いないかを正しく判断できればおのずとゲームは動き始める。それはつまり「ワセダらしさ」に繋がってくる。
前半と後半では明らかに出来が異なった。それは意識の部分。
先週の試合と異なる対戦相手なのに選手も、観ている人も心に隙があったと感じた。浮ついている。どこかでなんとかなるだろうという緩いプレー。そんな前半30分間。


後半開始直後に最初にトライを決めたのはやはり主将の大澤。試合を締める、チームの緩い雰囲気を締め、先頭で戦う姿勢を見せなければいけない男がスイッチを入れた。それこそが求められるリーダー像であり、上級生の姿。背中で示すことが彼の一番の仕事。
それからの30分間、前半とは異なり、彼らの選択に大きな間違いはなかった。今できることを全力で示したことが勝ちという結果につながった。毎試合成長する姿は関わる誰もが感じたこと。
前回指導を受けた選手がこの日には修正した姿を見せたことも収穫。明らかにゲームの流れが良くなり、その選手のパフォーマンスはよかった。それは13番の上條。ボールの持ちすぎは彼のプレースタイルで直さなければいけない点であったが、この日のプレーを観れば誰もが納得するものだった。彼がリズムを作り、ゲームをコントロールしていたのだ。
ミスは誰にでもある。ミスをしないような対策やアドバイスをすることがコーチには求められる。もちろん選手は同じミスを繰り返してはならない。それはコーチの話を真摯に受け止めていないからだ。毎日成長するためには自分と向き合う必要がある。自分は何ができて、何ができないのか。成長したということは彼は自分と向き合い、チームをお膳立てすることで新たなプレーの幅を身につけたステージに到達した。


加えて今日一番良かったのはプロップ陣。スクラムにパスにタックルに、大外で長い距離をサポートして走りきってのトライに。あの場所にいてサポートする意識があればチームはさらに強くなってくる。
そして、ゴール前ラインアウトでミスした後のスクラム。相手ボールを奪いNO8の藤井がトライしたのが試合のハイライト。FW8人のトライ。大事な場面での集中力、まとまり。ミスしたあとのスクラムで取り返すことがどれだけ味方を勇気づけるか。バスケットボールで例えるとシュートを外してもリバウンドを取り続けられるチームは強い。スクラムの1.5mにどれだけの熱意とロマンを持てるのか。あのトライ後、FWの喜んだ姿こそが最も人の心に残るシーンだった。
成長は選手たちが感じ取っている。それでもぬぐいきれない疑念と不安の理由はやはりフィジカル面。大澤組はこの問題に真摯に向き合えるか。今こそ求められる「チャンピオンシップマインド」

ついにたどり着いたシード決定戦。対戦相手はあのロイヤルブルーのジャージ、常翔啓光学園。
赤黒×ロイヤルブルーの対戦は互いに持っているDNAが似ているので激戦必至である。

関西創価の皆様、応援してくださった皆様、ありがとうございました。