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VS関大北陽高校「BK勝負で完敗。BKの成長が二ノ丸組の未来を決める」

2015/05/10

VS関大北陽
初の鶴見緑地球技場。初のBシード決定戦。
勝てば早稲田摂陵高校ラグビー部の歴史にさらに足跡を残す一戦。
気合いはもちろん入っていた。初のCシード権を獲得して満足はしていない、 それでも浪速戦、関大一高戦のような熱さと迫力が感じ取れない1週間であった。
どことなくフワフワした雰囲気、後がない雰囲気を発する選手がほとんどいなかった。
Bシード権とCシード権では秋の大会に与える影響は異なる。その重要性には大いに気づいているはずだったのに。
 

 
5月10日 歴史の創造のための一戦。
 
当日のアップはロッカールームでハドルを組んでから、グランドに出ていった。
自分たちの試合に集中し、何度もハドルを組み、熱を上げていった。
それでもフワフワした雰囲気は改善しなかった。トップ6に入るチームのアップでは誰もが声を枯らすぐらいにチームに熱を与え、己と仲間を鼓舞しまとまりを感じた。
一方で我々のアップは同じメンバーが声を出し、味方の返答もまばらで、他人任せ感は否めなかったのが実情。誰が主将で副将なのかわからないほど、リーダーが先頭を切って常にチームを鼓舞できていない。これが実力である。声を出すことは実はその選手の実力を表している。
そうゆう意味で、我々は自立し責任感溢れる選手が少ないと同時にそのレベルまで自信を持っている選手が少ない。
 

 
13時30分キックオフ。
関大北陽は風下をチョイスし、早稲田摂陵は風上をとった。
つまり前半リードしなければ、試合展開はおのずと関大北陽有利に働く展開。
最初のキックオフ。キッカー・高木のドロップキックはインゴールまで流れていき、相手センタースクラムとなって試合は開始された。試合の肝であるファーストプレーでミスしたことにより、流れは関大北陽に傾く。続いての相手のセンタースクラムでの攻撃に対して、早稲田摂陵のDFは明らかに間違ったポジショニングをとった。それに誰もフィールド内の選手は気づかず、わずか2分で相手に先制点を献上する。これはコーチングが足りていない証拠であった。経験値、ラグビー理解度、コミュニケーション能力どれを取っても不足していたシーン。コーチとしての落とし込み不足であり、早急に改善しなければいけないと痛感させられた。
彼らの考えや判断をが問われるシーンであったわけだが。
失敗から何を学び、次にどのような行動をするかが問われる。その観点から考えるととても彼らには勉強になっただろう。もちろん、この大事な試合でそのような凡ミスが許されるわけではないということに釘は刺さなければいけないが。
なぜなら大事な試合において、先制点は心理的プレッシャーを与え、与えられる。浪速戦同様、格上との対戦ならばなおさらである。その大事な先制点を取られたことで、風上のチームが不利になったことは間違いない。
そして、トライを取られた次のキックオフでも高木は同じようにキックオフをミスしてボールはインゴールまで流れていき、完全に相手に主導権を握られた。同じミスを繰り返すことはそのスキルがない証拠である。あの舞台に立つための準備が早稲田摂陵は欠けていたシーンであった。相手のキーマンは10番であったが、この日そのポジション対決では明らかに差があった。スキルだけでなくメンタルも含めて。
それでも、なんとかこの試合に懸ける気持ちで部員全員が相手に食らいつき、相手から反則を奪い、ゴール前に近づいたところでトライを返し、5−7とゲームを引き締める。


 
それでも個々のフィジカルの差、スキルの差、とりわけBKレベルの差は明らかで相手10番にスターターから振り切られ、トライをされる。5−14。
その後、自陣ゴール前で相手FWに執拗に攻められるが、ここのエリアでのDFは相手にゴールラインを割らせず、陣地を回復する。すると相手ゴール前に近づいたところでフェイズを重ね大外にキックパス。
そのバウンドがワセダに跳ね返り、トライを返す。10−14。
しかし、次のキックオフではキャッチミスをする。
この試合のキックオフではすべて相手ボールのチャンスになるということで流れを失う。そこからの関大北陽の攻撃をゴールギリギリで耐え、10−14で折り返す。
 

 
ハーフタイム
点差は4点と十分逆転可能な数字であった。今までの試合でも同じような状況が幾度となくあったので、その逆境をポジティブに捉えていた。
しかし、後半は一方的な試合展開になってしまう。
前半リードできなかった影響は相手に余裕を生み、風下になった早稲田を自陣から脱出するすべを失わせた。それは試合開始の笛がなったときからわかっていたことだが。
前半とは戦術を変えた関大北陽に対して、早稲田は対応できず簡単にゲイン、トライを許してしまう。加えて相手にうまく研究され対処されたプレーがいくつかあった。それは今のワセダの生命線であるプレーでもあった。
そうゆう意味で関大北陽は今現在の我々の実力から何歩も先を歩み、試合の結果は妥当なものであったに違いない。BK勝負では相当な差があり、後半の得点差にあらわれ完敗であった。
もちろん勝てるチャンスはあっただろう。それでもその確率は限りなく少なかったに違いない。すべての条件が揃えばの話であった。
この時期にBシードを懸けて格上のチーム、素晴らしいグランドで多くの観客の前でのプレー経験は大きなものだったと振り返れば思えるようにこれからしなければならない。
「我々の強みは我々の弱みでもある」
我々は新たな武器、新たなスタイルを習得しなければいけない。それは戦術的にもフィジカル的にもである。これからさらに高みを目指すためには。
それには時間と努力が必要である。
彼らは何が足りないのかをこの重要な試合を通して肌で感じたに違いない。この経験を生かせるかどうかは自分たちの今後の行動にかかっている。
 
問われるワセダとしての姿勢と態度。
危機感の欠如は成長を阻害する。ワセダに関わるすべての人がもっと危機感と緊張感を持たなければいけない。まずはコーチ陣、そして選手、スタッフ、保護者すべてが。
秋には今回の敗戦をどのように生かしたかが問われる。
対等に戦ったFW陣、まったく通じなかったBK陣。2年生たち。関大北陽との差は明らかにBKであった。
FWにお荷物のように扱われ、それをプレーで返すことができない自分たちをどのように見つめ、どのように感じたのだろうか?それでも尚這い上がってくることを期待している。1日や2日で改善するわけではない。だからこそ、継続し我慢強く繰り返さなければいけない。それが出来た時、二ノ丸組には新たなスタイルが加わるだろう。
ここから先はBKの成長に関わってくる。