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VS八尾高校  「二ノ丸組初戦!ストーリーが生み出す成長曲線の違い」

2015/01/29

二ノ丸組のファーストゲーム
初戦は誰もが緊張し、上手くいかないことが起こる。
それはどの代でも起きることだが、それを乗り越えられるのは日頃の練習だけなのである。

「まだ、強くなれる。」

 
その一言が勇気づける。今の、今日の練習に絶対に満足しない。満足しないというのは全力を出した上で高みを目指す意味である。


 
ちょうど1ヶ月前、ずっと負け続けうまくいかなかったチームに転機が訪れた。
あれは、12月終わりのチームAT練習。一人の選手がチームのスタンダードをあげた。
彼のプレーに他の選手はついていけなかった。新幹線と普通列車の違いぐらいの差。
グランドには新幹線レベルでプレーする1人と普通列車レベルの14人が存在した。感じたイメージの違い、練習に対する温度差。
この出来事がすべてを激変させた。
 
「俺より遅い選手はおかしい」

決して言葉には発しないが、まるでそれを行動と態度で示すかごとく、どんな選手よりも早くポイントに到着して、次のポイントに寄っていく。前を走っているはずなのに、抜かれる。そんな自分が良いか悪いかは誰もがわかること。そのテンポでは激戦区大阪では勝てない。
そうして、誰もが認識した。俺たちはスローモーションでラグビーをやっているということに。それはスキルではなく意識の部分で改善することだった。
それを理解してからは、明らかにすべての人間の意識が変わった。他人の意識を変えることができるプレイヤーがこのチームにも存在する。



 
「言葉ではなく態度で。」
 
1ヶ月で明らかに彼らのラグビーレベルは上がった。それは、やっている自分たちが一番感じていることだろう。自分たちが何をすべきか、どのようにすべきかが理解できた時、彼らの中にほんの少しだけ自信とプライドを感じれるようになった。まったく勝てなかった練習試合、合同練習、それを解決するのは基準の違いなのである。一番高いレベルを体感、経験しなければずっと勝てない。

 
「俺たちはまだまだ強くなれる。」
 
前回の合同練習、近大附属、金光藤蔭、都島工業さんにも教えていただいた。
甘さ、ワセダとしてのスタンダードの低さが露呈した合同練習。
厳しく指摘されたワセダとしてのスタンダード。
 
「ワセダはそんな意識の低いプレーはしない。どんな時でも上回る意識がなければ」
「お前のプレーにはストーリーはあるか?」

そのストーリーについて説明した。
彼らは理解した。それは間違いなく彼が与えた好影響である。自分たちのすべきことをしていれば、上手くいく。むしろ、それをしなければワセダではないということを。
 
追手門学院大学さんにも多くのことを学んだ。
一緒に練習する中で自分たちの未熟さを感じ、改善点を教えていただいた。
そうして、意識は変わった。毎日の練習が学びの場である。


 
1月25日  VS八尾高校
 
今日の試合では相手の前に出るプレッシャーにラインが浅くなり、厳しくタックルを食らうシーンが多数あった。相手の勇気あるDFにミスを重ねた。きっと1ヶ月前の彼らなら負けていただろう。選手全員が相手を理解し、すべきことを改善できるように階段を登ってきている。それぐらい激変した一ヶ月。
試合が膠着する中でこの日一番のペネトレーターFL井上大介が相手のラインに穴を空けていき、次第にボールが展開されるように。手堅くプレーをしていく中で、少しずつ得点差を広げていくことができた。練習と試合ではプレッシャーが異なる。人数が少ない中でイメージするのは難しいことだが、その環境の中で選手自身が自分に問いかけなければならない。それはトップチームに追いつけるプレーなのか?
今日の試合では派手さはないが、堅実なプレーに終始した15人、そして全部員。

それは「
チーム以上の存在である選手はいない」
 
という言葉を理解しているからである。ラグビーは一人の選手のエゴは許されない。
全員が個人の責任を果たしていくことで成り立つ。
この1ヶ月で理解した言葉でもある。


そんな初戦、今までのどの代よりも安定感と堅実さのあった試合だった。もちろん多くのミスがあった。試合ではわからなかったこと、練習ではまだしていなかった状況、スキルは仕方ない。いきなり上手くなるわけではないのだから。
結果は63-0であった。一歩一歩登っていくための「ストーリー」を歩んでいる。
改善点はすでに示されている。スタンダードが高いプレーと低いプレーについても全員で認識した。いずれぶつかるであろう壁についても。
予測できる事態を改善できるかで早稲田摂陵のストーリーは変わる。
それは勝つためなのか。そう問いかければ今の自分を高みに連れていくだろう。

次戦は2月1日 VS大阪朝鮮高校 11時Kick off @摂津高校 
応援よろしくお願いします。




藤森コーチ
彼らは一歩一歩階段を登っています。いろいろなチームと合同練習や試合をしていく中で学んでいると思います。意識レベルの改善が一番大切。今の練習を全力でしているかと問いかけ、自分のレベルを高められるメンタルレベルも必要です。少しずつですがラグビーを理解してきていると思います。ラグビーを考えさせ、なぜかがわかったときもっとレベルが向上するでしょう。ミーティングも改善しているのがみられます。ただ、もっと改善するために必要なことをやらなければなりません。どのようにラグビー理解度を改善するかはシンプルです。失敗から学ぶのです。
人は聞いたことの2割しか覚えていない。見たことの3割は覚えている、見聞きしたことの5割を覚えている。そして自分の言ったことの7割を覚えている。実際にしたことの9割を覚えている。
つまり、見て聞いて実践したことを他人に説明、教えられた時初めてマスターしたことになる。
今日のゲームでは八尾高校さんの勤勉で早いプレッシャーに自分たちの改善点を教えていただきました。日々のトレーニングも彼らの全力を出させるように意識し、激しさを持たなければいけません。
1ヶ月前は何もできなかったので驚きと喜びはあります。ただ、誰も満足していないと思っています。目指すところ、ワセダとしてすべきことの階段をまだまだ登っていかなければならないので。
次は大阪朝鮮高校さんですね。毎年全国大会に出ているチームに胸を借りて自分たちの改善点を見つけていきたいと思います。応援よろしくお願いします。