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VS合同A 『何かを変えるのではない。すべてを変えなければ』

2014/01/16

1月12日 VS合同A

緊急事態発生。
けが人多数でまさかの事態。これほどまでにけが人が出たのは経験がない。ベンチに座っているメンバーはわずかに3名であった。つまり10人以上は怪我をしていて初戦には間に合わなかった。
そして、グランドに立ったメンバーの大半は公式戦初出場、ラグビーを高校から始めた素人。
平尾組初陣にキャプテンの姿すらなかった。
 
毎日出るけが人に幾度となくメンバー変更を余儀なくされ、満足に練習ができなかったが、
このピンチはチャンス。フレッシュなメンバーには貴重な経験、それが公式戦ならばなおさらだ。
赤黒ジャージを着ることは、ワセダラグビーではただの試合ではない。
そんな中で勝利できれば大きな成長を遂げるはずと考えた。
そのポジティブな考えとは裏腹にかなりの危機感を感じていたことのは間違いない。


(ゲームキャプテンを務めた磯崎)
 
新チームが始まってからは肉体改造とハンドリングスキル中心の練習を行った。昨年の津志田組を超えなければ、荒ぶるは手に入らない。現時点ではかなりの差があることは彼ら自身も思っているだろう。だからこそ、練習の中身と練習量が問われる1年になるに違いない。
 
そんな中、忘れてはいけない歴史。真島組、熊澤組、津志田組の敗戦。
この悔しさがあるからこそ、我々は前に進んでいかなければならない。
この赤黒には涙した先輩達の想い、これまで築いて来たワセダとしての文化と伝統がある。
どんなに苦しくても、どんな相手にも立ち向かっていく不屈の精神を平尾組がこの1年間で築いていけるのか。
そう、我々の時計は
11月3日、12時20分で止まったままなのである。
試合をする度に思い出すノーサイドのホイッスル。泣き崩れる3年生達の姿が脳裏から離れない。
彼らと誓った約束があるからこそ、前を向いて動き出さなければならない。
そんな3年生達と新チームの熱量のギャップに違和感を感じたこの数ヶ月間。
発言した内容がまるでどこかに穴があいているかのように空気が漏れていき、伝わらない感覚がもどかしい。
なぜなのか。あの3年生の最後の試合を見て、かけられた言葉の数々。あの試合のアップの熱さ。観ている人すら感情移入し涙するほどのアップがあったのは、この3年間、いやこれからの人生を懸けたからこそ得られる空間と感情ではないだろうか。
 
『本気』
 
君たちはその輪の中心にいて感じ取っていたのではないか。それを君たちは継承し、体現しなければいけないはずなのに・・・・
ワセダの名を背負うだけで満足し、まるで先輩達と同じようになれると思っている姿勢は成長を妨げる。
濡れたマッチ棒のようにこすりつけてもこすりつけても、火はつかない、つけられない姿勢でどうするのか。
そんな中、迎える平尾組初の公式戦は戦う前から不安要素がたくさんあった。

 
(BKリーダー・安永)
 
13時20分 Kick Off VS合同A
 
ファーストプレーでまさかのイージーなノッコンに、開始早々から『じぇじぇじぇ』の展開。それが今日の試合の様相を表していたのは間違いないだろう。
その後もノッコンの嵐。冬の寒さと重なるぐらい集中力と責任感のないプレーの連発でお寒い内容。
ワセダがやっているのはラグビーなのかと思うぐらい?アメリカンフットボールのようにゲームはすぐにプレーが止まり、セットプレーから始まる光景はまさに自滅の展開。
この60分間でリーダー達はどのような言葉をかけて、チームをまとめたのだろう?
相手チームのひたむきさや勤勉にタックルする姿が明らかに試合で目立っていたのは観戦に来ていた誰もが思ったこと。
 
そんな中で、唯一と言っていいほど、攻守に活躍したのはCTB吉田。走ってよし、当たってよし、タックルしてよしと
ワセダらしさを体現するプレーを連発して、ゲームの流れを引き寄せる。彼が活躍した要因は、人一倍フィジカルに対する意識が高い。もうすぐ90kgの肉体はひときわピッチで躍動していた。それはフィジカルの強さがラグビーではもっとも重要な要素ということを示していたことにもなる。


 (攻守ともに抜群の存在感を示したCTB吉田)
 
試合の大半はスクラムを組んでは組んでの連続だった。ひとたび攻撃を始めようとしても、DFがいない状況でもノッコンする始末に昨年のワセダの面影はまったくなかった。責任感の欠如と情熱の欠如と言うべきなのか。
それだけでは片付けられない根本的なスキル不足には、自主練習不足は裏切らないとの一言を付け加えなければいけない。
それでも、このピンチを乗り越えるにはやはりタックル。昨年のチームから出ている磯崎を中心とした数名のプレイヤーがゲームの要所を締めるビックタックルで相手の攻撃を寸断し0点に抑えたが、肝心の練習して来たハンドリングはミスにより不発と同時に練習メニューを再考させる結果となった。
32-0で勝利したものの、平尾組の船出は前途多難となった。
 
(デビュー戦の1年佐々木。すでにフィジカルレベルは超高校級)
 
藤森コーチ
いかに練習中自分たちがミスをしているか、そしてそれが試合に出るかということがよくわかった試合でした。
練習の為の練習をしていてはいつまでも伸びない。反省ばかりの試合でしたね。
ノッコンは1年分ぐらい出たイメージですね。まるでケチャップみたいなもの。出ない時は出ないけど、出る時はドバドバでる。
SOのマネジメントが良くなかったので、この1週間で改善しなければなりません。エリアを意識することと、早いセットが出来ておらず攻撃の意思統一ができない原因になっていました。彼には良い経験になったと思います。この経験を生かすも殺すも本人次第。チャンスを自分で掴んでほしいですね。
1年生の両LOはよくやっていた。三宅が公式戦デビューで初トライをすれば、この日がラグビーの練習を本格的に始めて1ヶ月の佐々木も活躍していたし、今年一年の成長が楽しみです。佐々木は1年生にしてフィジカルがかなりあるので、今の段階でリトル津志田のようなもので、津志田を(昨年の主将)を超える可能性はありますね。
けが人が多くてかなり苦労していますが、今試合に出ているメンバーはチャンス。けが人が戻って来たとしても譲らない心とパフォーマンスをみせてほしい。
今いるメンバーがワセダのベストメンバーであり、言い訳はできない。そんな中で、出ているメンバーの責任感に期待したいのと同時に、怪我を何度も繰り返す選手や怪我人にはフィジカルトレーニングの軽視と甘さが出ているので指導していこうと思います。これは、我々スタッフだけでなくご家庭の協力と意識の高さも関係があるので、協力していかなければならない。さらに強くなって返って来てもらわなければ、意味がないですからね。


(写真提供・北川さん)