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VS合同M 『遠い空の向こうに』

2011/01/22

 そこに見えたのは希望の光なのか、絶望の扉なのか?
 
新チームが始動してから2ヶ月余り。あの忘れもしない『10・31』の敗戦を胸に、新チーム初の公式戦を迎えた。
3年生が抜けた今、16人の部員全員1年生。今季はキャプテンを置かず、6人のリーダーでチームを作っていく早稲田摂陵。
新チームのスローガンは『Breakthrough』。現状打破、進展、躍進などの意味を込めたもの。今年爆発、成長しなければ『花園』への挑戦権は3年生になったときにないと誰もが感じているはず。
新チームの初ミーティングで具体的にどう成長していくのか?どのようなところに重点を置いて練習していくのか?チームとして、個人として伸ばすべきスキル、フィジカルを提示し、ラグビーを始めて9ヶ月、全員素人軍団が初めて挑む公式戦。
 
監督から『とにかく楽しんでやること。そしてDFをしっかりしよう』と試合前に一言。
コーチからは『とにかく体を張ることが一番大事。早稲田はDF。赤黒の責任を背負って思い切ってやりましょう』とアドバイスがあり試合に臨んだ。
 
12時10分、キックオフ。
前半は風下。風上を利用したキックに対して早稲田摂陵FB三嶋もキックで返すが、相手に陣地を奪われ、自陣でのプレーをしいられることになる。風下でラグビーをする場合のセオリーをしっかり理解できていれば、どのようなラグビーをすべきかわかるが、これが彼らの今の経験値。
この日、終始8番と15番の選手に走られたように、自陣ゴール前スクラムで8単からあっさりとトライを取られ、試合の流れは相手チームに。
その後も、FWとBK一体となって攻めてくる相手に対して、早稲田のDFは崩壊。試合中に39回のタックルミスがあれば、どっちが勝利するかは試合の映像を見なくても分析シートを見ただけで判断できること。早稲田ラグビーはDFで体を張ることが一番大事。それが『赤黒』を着る責任であり、信頼される選手であることは間違いない。前半はほとんど攻める機会もなく、良いところがなかった早稲田摂陵だが一つのアドバイスで後半息を吹き返す。
 
『とにかくキープレイヤーにボールを集めて、ATすることを徹底しよう』と後半送り出す。
 
スクラムからCTBの熊澤がペネトレイト、一度ペナルティーの笛がなれば、このチームNO1のペネトレイターHO豊島が相手のDFを次々になぎ倒し突破していく(豊島のDFブレイク人数は21人!!)。その突破力は秀逸。そのチャンスに選手が反応し、練習どおりの仕掛けでSO野口がチャンスメイクし、最後は野球部を辞めてラグビー部に入った寡黙な男・WTB村井が相手のDFを二人かわして、左隅にトライ。ラグビーを始めて2ヶ月の村井がトライすると、今度はこの日、攻守共にリーダーとしての責任を果たした熊澤がチャンスフェイズでDFを振り切り、右中間にトライ。さらには早稲田DFの体現者、NO8大家が相手に激しいタックル(あまりの激しいタックルにスピアタックルをとられたが・・・・)流れを持ってくる。
そして3本目のラストは、またまた豊島のペネトレイトから、ラグビー部に再度戻ってきた熱い男、WTB中村がDFを引きずりながら右手一本伸ばしてトライを決めた。このトライは早稲田大学のWTB中濱をイメージしたもの??
 
 
試合には敗れたことをしっかりと反省しながらも、今やっている練習の成果が随所に見られ点はよかったが、練習中から出来ていないプレーが試合でも幾度も観られた点は、選手は日々の練習がいかに大切か、裏切らないかを実感しなければならない良い機会だっただろう。また、後半の内容では上回っていたので、前半から強い気持ちで試合に入っていければ試合の展開は違っていただろう。
なんにせよ、まだまだ足りないことだらけであるが、一筋の光が見えたのではないだろうか?


〈攻守ともに体を張り続けたゲームキャプテン・熊澤〉
自分たちの練習の甘さや、スキルのなさが試合に出たと思う。また、上級生を倒すほどのフィジカル面もまったく足りていなかった。前半の最初にトライをとられ、勢いづかれてしまい、それを止めれなかった点は反省したい。ただ、後半の勢いでは相手と差がなかったので次の試合では、前半から出せるようにしたい。


〈幾度となくペネトレイトを繰り返したHO・豊島〉
上級生のいるチームに対しては、よくがんばったほうだと思うが、勝てる試合だったのでこの敗戦はくやしい。自分も含めてチーム全体で働けていない選手がいるので、もっと動き回りたい。


〈チームを陰で支えたFL・吉川〉
勝てると思ったので負けてとてもくやしい。パススキルや全体的にコールが少なく体を当てることができなかった。次は、もっと体を当てれるようにしたい。

 
藤森コーチ
『まだまだラグビーという形には程遠いですね。練習で行っていることをいかに試合で発揮できるかが大事なわけですが、練習中のイメージがまだまだリンクされていない感じでした。一方で、練習で教えたボールのもらい方、仕掛け方など良い点もあったのでその点は評価したい。今回は、彼らがどのくらい試合で仕事をしたのかを、早稲田大学の分析方法を使ってデータを提示しました。自分では仕事をしたと思う選手、実際に私が試合で見た評価が客観的に合っているかを見るのには非常に良かったです。データは裏切らないですし、このデータをみて選手にはもっと練習しなければいけないと話しました。あとは、心の問題も大きいなと。まだまだ一年生とはいえ、一人の人間として日常の規律を守ることが出来ていない点がラグビーのプレーに現れているなと。
(希望の光でしたか?)どうですかね?後半は可能性を感じさせてもらいましたが、いろいろと遠いですね。
彼らには4月には新入生も入ってくるので、今すべきことに向き合うように日々話しているので危機感を持って過ごしてほしいなと思います。』