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VS浪速高校 「再びロスタイムでの攻防。三宅組に訪れた試練」

2017/05/25

一ヶ月前に見たロスタイムの光景が目の前に再び広がった。
何も変わっていなかった。何も変わることができなかった。変わろうとする者もいなかった。守れなかった。早稲田のゴールラインを。プライドを。この試合の重要性とあの時間帯での攻防をわかっていたのに身体は反応しなかった・・・・・・・



5月21日 Cシード決定戦
VS浪速高校

この東大阪市グランド(花園第3グランド)で早稲田摂陵高校ラグビー蹴球部は一度も勝ったことがない。
1度目は熊澤組の花園予選準決勝
2度目は平尾組のCシード決定戦

そして3度目のチャレンジが今年の三宅組。
試合の相手である浪速高校はフィジカルとスキルのある選手が揃っており、先週の試合を勝ち上がって勢いがあるチームである。
そのような勢いがあるチームを迎えるにあたって注意すべきは試合の入り方と我々がチャレンジャーとしての意識。
実力的に接戦になることが予想される両チームなのでほんの一瞬の隙を見せた方が敗戦する。

13時40分キックオフ
序盤はお互いの意地と意地がぶつかり合いゲームが動かない。
ゴール前でもらったラインアウトのチャンスも浪速高校の激しく厳しいDFにゴールラインを割れない。反対に浪速高校のゴール前チャンスの攻防を早稲田摂陵も激しいDFで押し返し、一進一退のゲーム様相を繰り返す。そんな中で前半29分に先制したのは早稲田摂陵。ボールを継続し意地でDFの間に走り込みトライを奪う。ゴールキックも決まり7-0でハーフタイムを迎える。
予想通りの接戦に後半の試合の入りが重要と全ての人間が理解し、最後のノーサイドの笛が鳴るまで、試合に集中するようにとコーチから言葉があり、後半のキックオフを迎えた。

後半は風上である早稲田摂陵がエリアを取るための行動をするのが定石ではあるが、中途半端に攻め反則を犯し、ほぼ自陣でのラグビーを強いられる。後半先制したのは浪速高校。中盤から継続され、早稲田摂陵のタックルミスが重なり、トライを奪われる。キックはハズレ7-5。
それでも後半唯一のチャンスであった敵陣でのアタックを継続させ、大外から大外へボールを持っていき、最後は左中間にトライを奪いリードを奪う。しかし、キックは外れ12-5。

残り時間は10分。しかし、ここからひたすら自陣に張り付けにされる。数名のチームプレーができない選手により、反則を犯すと自陣深くまで攻め込まれる。何度もFW勝負を挑まれ、その度に我慢しゴールラインを割られないが、取り返すだけのDFができず、再び反則を犯してしまう。それでも早稲田のプライドで最後の、最後のラインだけは死守し続ける。FWへの執拗なこだわりを見せる浪速高校の圧力を意地で跳ね返し、ロスタイムを迎える。ここからは3年生の意地が試される場面。そして三宅組の運命を決める時間。
この光景は一ヶ月前に見た試合と同じ。残りワンプレーで終わる場面。前回は後半35分にサヨナラ逆転トライを奪われ、Bシード決定戦進出を逃す。同じ場面が再び三宅組に訪れる。この一ヶ月、あの場面を何度も悔やみ、想い続けていた。そんな場面で三宅組はどのような姿勢と態度と結果を今度は出すのか。三宅組に訪れた試練。その試練をコーチ陣は見守った。
守れなければ自分たちの思い描いたストーリーは描けない。究極的に試される場面は人間が最も成長する瞬間。だからこそ、チームリーダーが力を発揮しなければいけない、同時に日頃の私生活とラグビーに対する姿勢が現れる。

時計の針は後半37分を示した。
前に出て一度でも相手の攻撃を遮断しボールを奪い返せば終わる場面で誰も取り返すことができず、一瞬の隙からこれまでBKに回さなかった浪速高校がついにBKに回す。早稲田摂陵WTBが飛び込んでタックルするも外され、インゴールを明け渡す。そして、ゴール中央付近まで回り込まれる。
そのゴールキックを難なく決められ、ここでノーサイド。
12-12の引き分け。
シード決定戦の規定により、両チームの主将と監督が抽選会場に向かう。
その結果を固唾を呑んで待つ両校の選手と関係者。
先に出てきた早稲田摂陵の主将と監督。
表情は固く笑顔はなかった。



円陣で
「シード権は我々にあった」との報告。
しかし、試合を通じて浪速高校の方が良いラグビーを展開し、試合の最後まで諦めない姿勢と態度を示していた。対して早稲田摂陵の選手達はどうだったのだろうか。
守れなかったラストワンプレーと早稲田ラグビーの誇り。なぜそうなったのだろうか?周りの者に甘え、人に熱を与える人物に3年生が成長しておらず、誰かがやると頼りきった姿勢。そんな態度とマインドセットをいつまでも変えない3年生。歴代の3年生の背中を見てきた中で、魅せる背中はそうなのか。
リーダーはどこに行った?グランドに訪れる人が3年生はどれですかと言葉を残していく。その言葉の意味を深く深く考えるべきである。這い上がって戦うか、諦めるか。いずれにせよ三宅組に残された道は険しいということ。