大きくする 標準 小さくする
  • トップ
  • 特集
  • 卒部式(最高の笑顔と最高の涙で熊澤組卒部)

卒部式(最高の笑顔と最高の涙で熊澤組卒部)

2013/03/04

一日限定であの熊澤組が復活!

嬉しい感情とついに別れの日が来てしまったかという複雑な心境が入り交じって迎えたこの日。

まるで株価の浮き沈みを表すかのように気持ちは揺さぶられた。

 



3月2日、ついに迎えた熊澤組・卒部式。僕らにとってはWBCよりも価値があり、大切な試合。 前日の雨で心配されたグランドは早稲田摂陵高校ラグビー部全員の想いを感じたかのように 最高のグランド状態で迎えてくれた。 熊澤組11人があの仰星戦後に集まること自体が初めてではないだろうか?そして、11名全員が同じピッチに立つのも初かも知れない。久々に集まった熊澤組は興奮を抑えられずグランドで誰からともなく練習を始めた。 それぞれのそれまでの過ごし方を確認するかのように。3年間の歴史と歩みを確認しながら。 11名では試合ができない。そこは心配ご無用。2年前に卒業した真島組が熊澤組の追い出し試合のためにかけつけてくれた。これこそ、早稲田愛。そして、最初で最後の廣瀬監督、藤森コーチがチームに加わり15名が揃った。

試合は序盤から激しい攻防を繰り広げる。
現役が練習のままの実力を出せばそれに応戦するかごとく、先輩の威厳を示し、熊澤組は圧力をかけて跳ね返す。

だが、受験の影響か?それとも練習不足かは定かではないが、徐々に現役に押し込まれ最後の一線を死守する展開。
だが、簡単にインゴールを明け渡さないのが熊澤組。ここぞの集中力、身体を張るということにおいては早稲田のDNAは失われていない。熊澤が相手CTBに激しくタックル、豊島は相手のFWに正面から入るとたまらず現役が反則を犯し、地域を挽回する。

試合が10分を過ぎた頃、一瞬足が止まったところで現役に1トライを許し、追いかける展開。
インゴールでは熊澤組はみな笑顔。

(あいつらつえーな。でかいわー。でもこのままじゃつまらないよな。もっといけるっしょ。早稲田いこーぜ)とその声にみな心は一つに。

この1分1秒を無駄にせず楽しむように。
後半開始早々に現役時代を彷彿とされる連続攻撃でゴール前まで攻めると、SO・野口が絶妙な判断で裏にボールを転がし、そのボールを押さえた。

だが、現役も負けてはいない。この日、もっとも注目されたSO対決で野口を超える才能?1年生SO・沖中が野口を一瞬で抜き去り、味方のトライをアシスト。これには野口も苦笑い?いやいや、これで完全に彼のハート火をつけたのは間違いない。

残り時間も少なくなり
後半ラストプレーでSO・野口がループからパスをもらうとDF2人を置き去りにし、トライを決めてトライ数2−2本で試合を終了した。



試合後には食堂でお別れ会。 熊澤組一人一人が熱い言葉でこれまでのラグビー人生、同期への想い、後輩への激励、そして保護者への感謝を述べた後は、後輩からのプレゼント。
そして、先輩から後輩へ想いを伝えるべく、早稲田伝統の儀式であるジャージに寄せ書きをしてもらい会は終わりに近づいた。

そして、最後は今日一番のサプライズ。
卒業生から自分の親に対して一人ずつ3年間、18年間の感謝を述べると会場の雰囲気は一変。
(3年間毎日ありがとう。わがままで喧嘩もしたけど、いつも応援してくれてありがとう)
(18年間ありがとう。これから少しずつ感謝の気持ちを返していきたいと思います)
(いつも洗濯をしてくれて、おいしいご飯を作ってくれてありがとう)
(これからも迷惑かけると思うけど、よろしくお願いします)

そして、ラストのキャプテン・熊澤の涙ながらの言葉に前に立った親だけでなく、1、2年生の親は感情移入しハンカチなしではその言葉を聞くことはできなかった。
ラグビーでは早稲田摂陵の新たな歴史を残し、私生活では最後まで後輩、そしてマネージャーに気を配ることの出来る熊澤組であった。 この3年間、いろいろなことがあった。そのすべてが彼らの力に変わり真の男になった。 熊澤組の偉大さはいつまでも語り継がれる存在であろう。これから早稲田摂陵高校ラグビー部が歩みを進める度に。 人の豊かさはお金では決まらない。心の底から信頼できる仲間を手に入れ、本気ですることがあるかで決まる。背中で示してくれた熊澤組に感謝したい。




藤森コーチ

素晴らしい会だったね。彼ら一人一人の言葉を聞いて、いろいろな思い出が蘇ってきた。 最後まで早稲田の3年生としての姿勢、態度を示してくれた彼らは本当に素晴らしかった。 後輩も早稲田の3年生がどうあるべきか、そして早稲田ラグビーとはどうゆうものかを最後まで感じ取ってくれたと思う。 3年生には密かにプレゼントを渡しました。きっとハンカチが必要だったと思います(笑) 熊澤組のみんな、これからも夢に向かってがんばれ! 4月の大会で熊澤組に喜んでもらえるような結果を残していきたいと思う。